メトトレキサートについて
日本に限らず、全世界的に関節リウマチに対して最初に使用されることが多い薬です。
関節リウマチの治療で中心的な役割を担うため「アンカー薬剤」と言われています。
関節の炎症を減らして症状を和らげ、関節の骨の破壊を防ぐ効果があります。効果は強く、関節リウマチをよく抑えるだけでなく、関節リウマチ患者の心臓・脳の病気(心筋梗塞・脳梗塞など)を抑える効果もあります。
価格も安く使用しやすい一方で、副作用も多く、飲み方にも注意が必要です。
1. メトトレキサートが治療の中心的な役割を果たす理由
メトトレキサートが関節リウマチの治療において特別な地位を占めている理由は、「高い治療効果があるから」と、「関節破壊を食い止める確実な効果があるから」です。
① 関節破壊を防ぐために不可欠
メトトレキサートの最も重要な役割は、関節リウマチと診断されてすぐに起こる「不可逆的な(一度進むと治らない)関節破壊」を防ぐことです。活動性のある関節リウマチと診断されたら、できる限り早く、このメトトレキサートによる治療を開始することが、長い目で見たときの関節の機能を維持するために欠かせません。メトトレキサートは、関節の炎症(滑膜炎)を抑え、関節の変形を防ぐことができると言われています。
② 有効性と長期的な安全性
メトトレキサートは他の従来型合成抗リウマチ薬と比べても比較的高い治療効果があり、また長い目で見ても治療の効果を維持できるとされています。
③ 全身的な予後の改善
メトトレキサートを使用することで、関節の症状を改善させるだけでなく、関節リウマチ患者さんの長期的な予後(様々な理由による死のリスク)を改善すると報告されています。特に関節リウマチ患者さんがリスクの高い心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中など)による死亡リスクや、そのほか含めた全死因死亡リスクを減らす可能性が報告されています。
これは、メトトレキサートが関節リウマチの炎症を抑えるだけでなく、炎症が血管に与える悪い影響も直接抑えるからだと言われています。
2. メトトレキサートの併用療法
メトトレキサートで関節リウマチを抑える効果が不十分なときには、生物学的製剤と呼ばれる薬を使用します。しかし、そのようなメトトレキサート単独での効果が不十分な場合でも、中止せずに続けることが多いです。これは、メトトレキサートは生物学的製剤やJAK阻害薬などの新しい強力な薬を一緒に使用することで、真価を発揮して、治療強化を高める効果があるとされるからです。
・抗TNFα阻害薬との併用では、「薬の効果を弱める抗体」ができるのを防ぐ効果があるとされています。
・明らかな副作用や毒性がない限り、関節リウマチの炎症の再燃を避けるために、メトトレキサート治療は基本的に無期限に続けるべき、とされています。
3. メトトレキサートが免疫や関節リウマチを抑える仕組み
メトトレキサートは、古くから悪性腫瘍(がん)治療に用いられてきました。この薬を少量だけ使うことで、適度な免疫抑制(免疫を下げる)効果を起こし、関節リウマチをはじめとした膠原病の治療に役立てています。具体的には以下の効果があると言われています。
・炎症の信号を弱める:メトトレキサート、細胞の中で葉酸というビタミン(栄養素)の働きを抑えることで、免疫細胞の異常な増殖や活性化を抑制します。
・鎮火物質を放出させる:メトトレキサートは体の中でアデノシンという物質の濃度を高めます。アデノシンは、炎症を起こしている部位に働きかけ、「炎症のブレーキ」をかけるような抗炎症作用を起こすとされています。
4. メトトレキサートの特殊な飲み方と注意点
メトトレキサートは普通の薬と異なった飲み方をするため、注意が必要です。
<飲み方>
・通常、週に1回、特定の曜日に飲みます。 (毎週土曜日など)
・量によりますが、2回に分けて飲んだ方が薬の吸収が良くなると言われています。
そのため、朝と夕に分けて飲むことが多いです。
・最初は少ない量(2錠~3錠)から開始して、副作用を確認しつつ少しずつ量を増やしていきます
<葉酸(フォリアミン)の併用>
・メトトレキサートの副作用を減らすために、葉酸のサプリメント(フォリアミン®)を一緒に飲むことが多いです
・メトトレキサートを飲んだ、次の次の日の朝に飲むことが多いです
(例) メトトレキサートを土曜日内服 → フォリアミンを月曜日に内服
メトトレキサートを月曜日に内服 → フォリアミンを水曜日に内服
・葉酸は食べ物にも含まれています。
→ 葉酸を過剰にとりすぎるとメトトレキサートの効果が下がってしまいます
(葉酸を多く含む食品) ほうれん草、ブロッコリー、レバー、果物、乳製品など
5. 副作用と安全性に使うための注意点
メトトレキサートは関節リウマチになくてはならない有効な薬ですが、重篤な副作用を防ぎ、安全に治療するためには、様々な注意点があります。
6. 新しいメトトレキサートの選択肢:メトジェクト
・2022年から日本でも「メトジェクト」というメトトレキサートの注射の薬が使用できるようになりました
・注射で投与することで、メトトレキサートの副作用を大きく減らして、続けることができます。結果的に多くの量のメトトレキサートを使用することができ、より関節リウマチを抑えるための選択肢になります
・生物学的製剤が費用の面で使用しにくい患者さんは、メトジェクトは価格を抑えた治療強化のひとつの選択肢になります
<投与方法> 1週間に1回、決められた曜日に注射をします
<特徴>
・ランダム化試験では、飲み薬で飲むよりも、より高い効果があると示唆されています
・メトトレキサートのお腹の副作用などを軽減することができるとされています
当院ではメトトレキサートからメトジェクトなどの最新の薬まで使用して関節リウマチ治療に当たります。千葉で関節リウマチの治療が気になった方は、是非「こあら内科クリニック」にご相談下さい!
