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全身性エリテマトーデス

全身性エリテマトーデス(SLE)について

全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus;SLE)は、「膠原病」に分類される、免疫の異常によって引き起こされる病気です。全身性エリテマトーデスは「膠原病の王様」と呼ばれることもある通り、他の膠原病と比較してもより多彩な症状・合併症を起こします。この病気は、症状が良くなったり(寛解)、悪くなったり(再燃)を繰り返すことがありますが、適切な治療によって症状を抑え、臓器へのダメージを防ぐことができます。

1. 全身性エリテマトーデスとは

全身性エリテマトーデスは「自己免疫疾患」と呼ばれる病気の一つです。通常、私たちの体の免疫システムは、ウイルスや細菌などの外敵から体を守る働きをしています。しかし、自己免疫疾患になると、この免疫システムが誤って自分自身の正常な組織や臓器を「敵」とみなして攻撃してしまいます。 その結果、皮膚、関節、腎臓、心臓、肺、血液、神経など、全身のあらゆる場所に炎症や痛みが引き起こされます。人によって攻撃される場所が異なるため、症状の出方は患者さん一人ひとりによって大きく異なります。

また残念ながら治る病気ではありませんが、適切な治療により病気を抑えた状態を維持する(寛解を維持する)ことが目標で、長期にわたって共に歩んでいくタイプの病気になります。

2. 有病率や疫学

全身性エリテマトーデスは、どの年齢でも発症する可能性がありますが、特に16歳から55歳の間で発症することが多く、その割合は約65%を占めます。 また、男性よりも女性に圧倒的に多く見られる病気です。成人の場合、女性の患者数は男性の7~15倍とも言われています。

3. 原因

全身性エリテマトーデスの正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、一つの原因ではなく、複数の要因が重なって発症すると考えられています。

  • 遺伝的要因:家族に全身性エリテマトーデスの方がいる場合、発症するリスクが少し高くなることから、遺伝子が関係していると考えられています。ただし、特定の遺伝子があれば必ず発症するというわけではありません。
  • 環境要因:紫外線(日光)を浴びること、ウイルスへの感染(エプスタイン・バールウイルスなど)、喫煙、精神的なストレスなどが、発症や病気の悪化の引き金になると考えられています。
  • ホルモン:女性に多いことから、エストロゲンなどの女性ホルモンが免疫の働きに影響を与えている可能性があります。

全身性エリテマトーデスを発症させないために患者さんができることとして「遮光」があります。頻繁に強い日焼け止めを塗る、日傘を使用する、などが大切とされています。

4. よくある臓器病変

全身性エリテマトーデスは「全身性」という名前の通り、全身のさまざまな場所に症状が出ます。代表的な症状は以下の通りです。

・全身の症状

多くの患者さんが、疲れやすさ、発熱、体重の変動を経験します。

・関節の症状

関節の痛みやこわばり、腫れは、病気の初期によく見られる症状です。手首や指、膝などの関節に起こりやすく、左右対称に出ることが多いですが、骨が壊れてしまうことはまれとされています。

・皮膚の症状

頬から鼻にかけて赤い発疹が出る「蝶形紅斑」が有名です。また、日光に当たると皮膚が赤くなったり発疹が出たりする「光線過敏症」や、円形の跡が残る発疹、髪の毛が抜ける脱毛なども見られます。

・腎臓の症状

全身性エリテマトーデスの重要な臓器病変の中で最も頻度が多いのが腎臓の炎症(ループス腎炎)です。自覚症状がないことも多いですが、尿検査でタンパク尿や血尿が見つかります。進行すると足がむくんだり、腎臓の機能が低下したりします。

・血液の異常

貧血、白血球の減少、血小板の減少などが起こることがあります。息切れが起きたり、血が止まりにくくなることがあります。

・心臓/肺の症状

心臓や肺を包む膜(心膜や胸膜)に炎症が起き、胸の痛みや息切れを感じることがあります。

・神経系の症状

頭痛、気分の落ち込み、記憶力の低下、けいれん発作などが起こることがあります。

・その他

寒いところで指先が白や紫に変色する「レイノー現象」が見られることがあります

5. 臓器病変ごとの治療方法

治療は、症状の重さや、どの臓器に障害が出ているかによって一人ひとり異なります。

  • 基本となる薬「ヒドロキシクロロキン」
    全身の症状、皮膚の症状、関節炎などを改善し、病気の再燃(悪化)を防ぐために、使用できない特別な理由がない限りすべての患者さんに推奨されています。ただし目の副作用がでることがあるため、定期的な眼科への通院が大切です。
  • 軽症の場合:経過観察のみ、またはヒドロキシクロロキンのみで治療します。場合により少量のステロイドを使用することもあります
  • 中等症の場合:ステロイドに加えて、ステロイドの量を減らすために免疫抑制薬を併用することがあります
  • 重症の場合:大量のステロイドや強力な免疫抑制薬、生物学的製剤などを使用します

6. 治療をしなければならない理由

全身性エリテマトーデスは、治療をせずに放置すると、自分の免疫システムが重要な臓器を攻撃し続け、取り返しのつかないダメージを与えてしまう可能性があります。 例えば、腎臓の炎症を放置すると、腎臓が働かなくなり、透析や腎移植が必要になることがあります。適切な治療を行うことで、症状を和らげるだけでなく、臓器を守り、将来的な合併症を防ぐことができます。

7. 治療目標

全身性エリテマトーデスの治療には、主に以下の目標があります。

・寛解または低疾患活動の維持

病気の勢いが完全に止まっている状態(寛解)、あるいは活動性が非常に低い状態(低疾患活動)を目指します。

・再燃の予防

病気が再燃すると臓器が壊れ後遺症が残る可能性があります。可能な限り再燃の回数を減らすことが大切です。

・臓器障害の予防

腎臓などの臓器が壊れないように守ります。

・薬の副作用を最小限にする

特にステロイドは長期間使用すると副作用が出やすいため、できるだけ少ない量で病気をコントロールすることを目指します。

・生活の質の向上

痛みや疲労を減らし、学校や仕事、家庭生活を普通に送れるようにします。

8. 特定疾患の申請について

全身性エリテマトーデスは国の指定難病に該当する病気で、「指定難病医療費助成申請」を行い認定をうけることで、全身性エリテマトーデスに対する治療費用については国からの補助をうけることができようになります。ただし認定を受けるためには「全身性エリテマトーデスの診断と重症度」が認定基準を満たす必要があります。

認定を受けるために必要な書類は複数ありますが、その中でも「臨床調査個人票」は主治医の先生に書いてもらう必要があります。全身性エリテマトーデスの患者さんで、ご自身が医療費助成を満たすか気になる方や、申請について気になる方は、主治医先生にご相談ください。

※ 臨床個人調査票に関わる文章料は公費助成の対象にはなりません

※ 書類を提出しても認定されるかは審査結果によります

9. 病気の見通し

昔は全身性エリテマトーデスの予後はあまり良くありませんでしたが、診断技術や治療法が進歩したおかげで、劇的に改善しています。1950年代には生存率は50%程度でしたが、現在では90%以上の患者さんが長期にわたって生存できるようになっています。 現在では、多くの患者さんが治療を続けながら通常の生活を送っています。ただし、病気そのものや治療薬の影響で、感染症にかかりやすくなったり、動脈硬化(心血管疾患)のリスクが高まったりすることがあるため、定期的な通院と健康管理が大切です。信頼できる主治医の先生と治療に臨むことが大切になります。

当院では膠原病内科の専門医と指導医の資格を持った医師が治療にあたります。
千葉で全身性エリテマトーデスの診断・治療が気になった方は、是非「こあら内科クリニック」にご相談下さい!

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