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強直性脊椎炎

強直性脊椎炎

「脊椎関節炎」という大きなグループの中で、背骨の炎症が画像検査(レントゲン)ではっきりと確認できるものを「強直性脊椎炎」と呼びます。

 脊椎関節炎の全体像については、「脊椎関節炎」をご覧ください

 

強直性脊椎炎は脊椎関節炎の中で唯一「特定疾患(難病)」に該当するため、診断と重症度が国の基準を満たす場合には、一定額以上の治療費がかからなくなり、高額な治療も安心して受けられるようになります。詳しくは下記をご参照ください。

1. 強直性脊椎炎とは

強直性脊椎炎は、主に背中、骨盤にある「仙腸関節」に炎症が起き、痛みやこわばりが生じる病気です。「強直」とは、関節が固まって動かなくなる状態を指します。この病気が進行すると、体は炎症を治そうとして新しい骨を作ってしまいます。その結果、背骨の一つひとつがくっついてしまい(骨癒合)、最終的には背骨全体が一本の竹のように繋がって動かなくなってしまうことがあります。これを「バンブースパイン」と呼びます。

しかし、すべての患者さんがこのように進行するわけではありません。早期に発見し、適切な治療を行うことで、背骨の変形を防ぎ、健康な人と変わらない生活を送ることが十分に可能です。

2. どのような人がなりやすい?:有病率や疫学

・発症年齢

 主に20代から30代の若い世代で発症し、45歳未満で症状が出始めるのが特徴です。

・性別

 男性に多い傾向がありますが、女性も発症します。男性の方がレントゲンで確認できるような骨の変化が進行しやすいことが知られています。

  • 遺伝子

 白血球の型の一つである「HLA-B27」という遺伝子を持っている人に多いことが分かっています。遺伝子検査で確認をすることができますが、仮にこのパターンの遺伝子を持っていても診断確定にはなりません。

3. 分類について

脊椎関節炎のうち、背骨や骨盤に症状が出るものを「体軸性脊椎関節炎」と呼びます。これは、レントゲン検査の結果によって以下の2つに分類されます。

 

① 強直性脊椎炎(X線基準を満たす体軸性脊椎関節炎)

レントゲン検査で、仙腸関節や背骨にはっきりとした変化(骨の破壊や癒合など)が見られる段階です。

② X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎

症状はあるものの、レントゲンではまだ変化が見られない段階です(MRI検査では炎症が見つかることがあります。

 

この2つは別の病気ではなく、同じ病気の異なる段階と考えられています。進行すると、「X線基準を満たさない」段階から「強直性脊椎炎」へと変化することがあります。定期的に経過をみることも大切になります。

4. 強直性脊椎炎を発症する原因

はっきりとした原因はまだ完全には解明されていませんが、遺伝的な要因と環境要因が複雑に関わっていると考えられています。 特に「HLA-B27」という遺伝子との関連が強いですが、この遺伝子を持っているからといって必ず発症するわけではありません。免疫システム(体を守る仕組み)が異常を起こし、自分の体を攻撃してしまうことで炎症が続くと考えられています。

5. 早期診断・早期治療を勧める理由

単なる腰痛だと思って放置すると、以下のようなリスクがあります。

・背骨が動かなくなる

炎症が続くと背骨同士がくっつき、前かがみの姿勢のまま固まってしまうことがあります。こうなると、上を見上げたり、体をひねったりすることが困難になり、日常生活に大きな支障が出ます。

・骨折しやすくなる

炎症によって骨がもろくなる(骨粗鬆症)うえに、背骨が一本の棒のように固まると衝撃を吸収できなくなります。そのため、軽い転倒でも背骨を骨折しやすくなり、神経麻痺などの重大な事故につながる恐れがあります。

  • 全身の合併症

目(ぶどう膜炎)、心臓(弁の障害)、肺などの臓器に病気が及ぶことがあります。

6. 治療目標

治療のゴールは、以下の4つを達成し、長期的に生活の質(QOL)を高く保つことです。

 1. 症状の消失:痛み、こわばり、疲れを取り除くこと。

 2. 機能の維持:仕事や趣味、運動を続けられる体の機能を保つこと。

 3. 構造破壊の予防:背骨が変形したり、固まったりするのを防ぐこと。

 4. 合併症の予防:目や心臓など、関節以外の病気を防ぐこと。

7. 治療

治療は、「運動療法」と「薬物療法」の二つが大切です

 

(1) 運動療法(リハビリテーション)

薬と同じくらい重要なのが運動です。背骨が固まらないように、ストレッチや体操を毎日続けることが有効です。また、タバコは骨の変形を早めることがわかっているため、禁煙は必須の治療といえます。

 

(2) 痛み止め/抗炎症薬(NSAIDsと言われる薬)

治療の基本となるのが、「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」と言われる解熱鎮痛薬です。一般的には鎮痛薬として使われますが、十分な量を定期的に(毎日)飲んでいただくことで炎症を抑える効果も発揮します。有名な薬では「ロキソプロフェン」などがありますが、長期に飲んでいただくために「セレコキシブ」などを使うことが多いです。

 

(3) 生物学的製剤

NSAIDsの効果が不十分な場合、生物学的製剤という注射薬が使用されます。これは、炎症を引き起こす特定のタンパク質をピンポイントでブロックする、非常に効果の高い薬です。 強直性脊椎炎の治療において、背骨の変形を抑え、劇的に症状を改善させる切り札となります。主に以下の2種類が使われます。

 

 ① TNF阻害薬

  体の中で炎症の司令塔となっている「TNF(腫瘍壊死因子)」という物質の働きを強力に抑えます。痛みやこわばりを劇的に改善し、生活の質を向上させます。また、背骨の骨がくっついてしまう進行を遅らせる効果も期待されています。関節だけでなく、目の炎症(ぶどう膜炎)や腸の炎症(炎症性腸疾患)を合併している患者さんにも高い効果を発揮します。基本的には自己注射の薬になります。

 

 ② IL-17阻害薬

  炎症に関わる「IL-17」という物質の働きを直接抑えます。TNF阻害薬と同等に、痛みや炎症を強力に抑えます。TNF阻害薬が効かなかった患者さんにも効果が期待できます

 

 ③ JAK阻害薬

  生物学的製剤が使えない場合や効果がない場合などに使われる、新しい飲み薬です。細胞の中で炎症の信号が伝わるのをブロックします。

8. 特定疾患(難病)の申請

強直性脊椎炎は脊椎関節炎の中で唯一「特定疾患(難病)」に該当するため、診断と重症度が国の基準を満たす場合には、一定額以上の治療費がかからなくなり、高額な治療も安心して受けられるようになります。

 

■ 難病情報センター (https://www.nanbyou.or.jp/entry/4848)より

<診断基準>

 鑑別診断を除外した確実例(Definite)を対象とする。

 1. 臨床症状

  a) 腰背部の疼痛、こわばり(3か月以上持続。運動により改善し、安静により改善しない。)

  b) 腰椎可動域制限(Schober 試験で5cm以下)

  c) 胸郭拡張制限(第4肋骨レベルで最大呼気時と最大吸気時の胸囲の差が2.5cm以下)

 2. X線所見(仙腸関節)

  両側の2度以上の仙腸関節炎、あるいは一側の3度以上の仙腸関節炎所見

   0度:正常

   1度:疑い(骨縁の不鮮明化)

   2度:軽度(小さな限局性の骨のびらん、硬化、関節裂隙は正常)

   3度:明らかな変化(骨びらん・硬化の進展と関節裂隙の拡大、狭小化又は部分的な強直)

   4度:関節裂隙全体の強直

<診断のカテゴリー>

 Definite

  臨床症状のa)、b)、c)のうちの1項目以上+X線所見(仙腸関節)

 Possible

  a)臨床症状3項目

  b)臨床症状なし+X 線所見(仙腸関節)

<重症度基準>

 下記のいずれかを満たす場合を重症例として対象とする。

  ・BASDAIスコアが4以上 かつCRPが1.5mg/dL以上

  ・BASMIスコアが5以上。

  ・脊椎X-P上、連続する2椎間以上に強直(bamboo spine)が認められる。

  ・薬物治療が無効の高度な破壊や変形を伴う末梢関節炎がある。

  ・局所治療抵抗性・反復性もしくは視力障害を伴う急性前部ぶどう膜炎がある。

<指定難病の基準>

  ・「Definite」かつ「重症例を見たす」患者さん

 

当院院長は難病指定医なため、上記に該当する患者さんについては特定疾患の申請を行い、専門的治療を行います。

9. 長期的な見通し:予後

かつては「背骨が固まって動けなくなる病気」というイメージがありましたが、現在は生物学的製剤などの登場により、状況は劇的に変わりました。早期に診断を受け、適切な治療と運動を継続すれば、多くの患者さんが痛みなく、仕事やスポーツを続けながら生活できます。背骨の変形も、炎症をしっかりコントロールすることで防ぐことが可能です。

特に、きちんと「強直性脊椎炎」として特定疾患が通ることで、費用面の心配をすることなく治療に当たれます。 重要なのは、専門医とともに、自分に合った治療を長く続けることです。

 

当院では膠原病内科(リウマチ科)の専門医と指導医の資格を持った医師が治療にあたります。また、生物学的製剤などの最新の薬まで駆使して強直性脊椎炎の治療に当たります。千葉で強直性脊椎炎の診断・治療が気になった方は、是非「こあら内科クリニック」にご相談下さい!

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