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気管支喘息

気管支喘息について

ここでは気管支喘息について解説します。

以前は命に関わることも多い危険な病気でしたが、近年では治療薬の進歩でだいぶ改善してきました。それでも年間1000人以上が命を落とす病気なため、適切な治療を継続することが大切です。

1. 気管支喘息とは

気管支喘息は、空気の通り道である「気道」に慢性的な炎症が起こり、気道が狭くなって呼吸が苦しくなる肺の病気です。 健康な状態では、気道は空気を通すために十分な広さがありますが、喘息の患者さんの気道は常に炎症を起こしており、とても敏感になっています。そのため、冷たい空気やホコリ、ウイルスなどのわずかな刺激にも過剰に反応してしまい、気管支を取り囲む筋肉が収縮したり、粘膜がむくんだりします。その結果、気道が狭くなり、空気が通りにくくなってしまいます
喘息の大きな特徴は、この気道の狭窄が「可逆的」であることです。つまり、自然に、あるいは治療薬を使うことで、狭くなった気道が再び広がり、元の状態に戻るという性質があります。しかし、適切な治療をせずに炎症を放置すると、気道が硬く厚くなり、元に戻らなくなることもあります。これをリモデリングと呼びます。

喘息患者さんの気管支の変化

2. 有病率や疫学

気管支喘息は日本中で多くの人が患っている病気で、子供では10%、大人でも5%と多くの人がかかえています。子どもから大人まで幅広い年齢層に見られ、小児期ではアトピー型(アレルギー型)の喘息が多いのに対して、年齢を重ねるごとに非アトピー型が増えてきます。

年齢と性別の特徴

小児期では男の子に多く見られますが、思春期以降はその差が縮まり、大人になると女性の方が多くなる傾向があります。小児喘息は成長とともに症状がなくなることもありますが、成人してから初めて発症する場合や、一度治まった喘息が大人になって再発する場合もあります。

地域差

自動車排気ガス(特にディーゼル排気粒子)やNOx(窒素酸化物)の濃度が多い、幹線道路の近くなどでは、気管支の炎症が起きやすく、気管支喘息を起こしやすいことが知られています。また、ダニやカビが繁殖しやすい高気密断熱の住居なども気管支喘息を起こしやすいことが知られています。

3. 原因

喘息の発症には、遺伝的な体質と環境要因が複雑に関わり合っています。単一の原因ではなく、様々な要素が組み合わさって発症します。

① アレルギー体質(アトピー)

IgE抗体」というアレルギー反応に関わるタンパク質を作りやすい体質(アトピー素因)は、喘息発症の最も強力なリスク要因の一つです。

② 環境要因

  • アレルゲン:ダニ、ペット(犬や猫など)のフケ、カビ、ゴキブリ、花粉などは、アレルギー反応を引き起こし、喘息の原因や悪化の要因となります。
  • ウイルス感染:乳幼児期にRSウイルスやライノウイルスなどの風邪ウイルスに感染し、喘鳴(ゼーゼーする呼吸)を繰り返すと、将来の喘息発症リスクが高まることがわかっています。
  • タバコ:本人の喫煙はもちろん、受動喫煙(妊娠中の母親の喫煙や家族の喫煙)も、肺の成長を妨げ、喘息の発症リスクを高めます。
  • その他:肥満、大気汚染、特定の職業での化学物質への曝露などもリスク要因として知られています。

4. 症状

喘息の症状は、発作的に現れたり消えたりするのが特徴で、特に夜間や早朝に悪化しやすい傾向があります。主な症状は以下の通りです。

喘鳴(ぜんめい)

呼吸をするたびに、喉や胸から「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という高い音がします。

息切れ・呼吸困難

空気の通り道が狭くなるため、息を吸ったり吐いたりするのが苦しくなります。

特に夜寝ている時や明け方、運動した後などに激しい咳が出ます。
一般的には空咳が多いとされていますが、痰が絡むこともあります

胸の圧迫感

強い喘息の症状の時には、胸が締め付けられるような苦しさを感じることがあります。

これらの症状は、運動をした時、冷たい空気を吸った時、アレルゲンに触れた時、風邪を引いた時などに誘発されやすくなります。症状がない時期があるのも喘息の特徴ですが、症状がないからといって気道の炎症が治まっているわけではありません。

5. 検査と診断方法

喘息の診断は、特徴的な症状の確認と、呼吸機能を調べる検査によって行われます。

問診

どのような時に症状が出るか(夜間、運動後など)、アレルギーの有無などを確認します

スパイロメトリー(呼吸機能検査)

息を大きく吸ってから勢いよく吐き出す検査で、喘息で最も重要な検査です。
「1秒間にどれだけ息を吐き出せるか(1秒率)」などを測定し、気道が狭くなっていないかを調べます。
気管支拡張薬を吸入した後に数値が改善すれば、喘息の可能性が高くなります。
喘息と診断をされた後も定期的に実施して、治療薬の効果を判定します。

呼気一酸化窒素(FeNO)検査

吐いた息に含まれる一酸化窒素の濃度を測ります。
これにより、気道のアレルギー性炎症の程度を評価できます。
→ 「アトピー型喘息」と「非アトピー型喘息」の判定に役立ちます
→ どのような気管支喘息の薬が効きやすいかの判断にも利用されます

ピークフロー測定

主に自宅で行う簡易的な測定器です。スパイロメトリーで測定する1秒率を自宅で簡易的に記録できます。
日々の調子の変化や、発作の兆候を知るのに役立ちます。
一日での変動が10%未満であれば安定していますが、20%以上で気道過敏性があると判断されます

アレルギー検査

血液検査で、ダニやペットなど何に対してアレルギーがあるかを調べ、原因物質(アレルゲン)を特定します。
気管支喘息を起こさないための日常的な管理の参考になります。

レントゲン検査や心臓超音波検査

他の病気(COPDや心不全など)ではないことを確認するために、レントゲン検査などを行いま

こあら内科クリニックでは、これら気管支喘息の検査を受診された当日に行うことができます。是非ご気軽に受診ください。

6. 治療をしなければならない理由

「症状がない時は薬を使わなくていいのでは?」と思うかもしれません。しかし、喘息治療の最大の目的は、今の症状を抑えるだけでなく、将来のリスクを減らすことにあります。

発作の予防

治療を怠ると、風邪や天候の変化などをきっかけに重篤な発作(急性増悪)を起こすリスクが高まります。
重積発作は入院が必要になったり、最悪の場合は命に関わることもあります。
最近は命を落とされる方は減っていますが、それでも年間1,000人が気管支喘息を原因に命を落としています。

気道のリモデリング防止

炎症が長期間続くと、気道の壁が厚く硬くなります。これをリモデリングと呼びます。
こうなってしまうと、薬を使っても気道が広がらなくなり、肺の機能が生涯悪くなります。

生活の質の維持

適切な治療で症状をコントロールすることで、スポーツや仕事、睡眠など、健康な人と同じような日常生活を送ることができます。

7. 治療方法①:吸入薬

喘息治療の中心は「吸入薬」です。飲み薬よりも少ない量で、直接気道に届いて効果を発揮するため、全身への副作用が少ないという利点があります。近年気管支喘息で入院される方が減少したのは、この吸入薬の進歩によるものが多いとされています。

コントローラー(長期管理薬):毎日定期的に使い、気道の炎症を鎮めて発作を予防する薬です。

吸入ステロイド薬

炎症を抑える最も基本的かつ重要な薬です。症状がなくても毎日続ける必要があります。

長時間作用性吸入β2刺激薬

気管支を広げる効果が長く続く薬で、2番目に基本的かつ重要な薬です。
喘息の症状を和らげる効果があります。
通常は吸入ステロイド薬と一緒に配合剤として使われます。

長時間作用型抗コリン薬

以前は喫煙者の吸入薬に使用されていました。
気管分泌物を減らす効果や気管支を広げる効果が期待され、気管支喘息にも使用されることがあります。
吸入ステロイドと長時間作用性吸入β2刺激薬と一緒に配合剤として使われます。

リリーバー(発作治療薬):発作が起きて苦しい時に使い、速やかに気道を広げる薬です。

短時間作用性吸入ベータ2刺激薬

「メプチン」や「サルタノール」などが代表的です。
即効性がありますが、炎症を抑える効果はないため、使いすぎには注意が必要です。

吸入薬は正しく吸わないと効果が出ないため、医師や薬剤師から正しい吸入方法(手技)を習い、定期的に確認してもらうことが大切です。

8. 治療方法② その他の薬と治療方法

吸入薬だけではコントロールが不十分な場合や、病状に応じて他の治療法を組み合わせます。

ロイコトリエン受容体拮抗薬

アレルギー反応による気道の収縮や炎症を抑える飲み薬です。
特にアレルギー性鼻炎を合併している場合などに使われます。

長時間作用性抗コリン薬

気管支を広げる吸入薬の一種で、吸入ステロイドなどで効果が不十分な場合に追加されることがあります。

生物学的製剤

重症の喘息患者さんに対してのみ使用されます。
炎症を引き起こす特定の物質(IgEやIL-5など)をピンポイントでブロックする注射薬です。
費用が高額ですが、他の薬では治まらない気管支喘息のコントロールも可能です。
使用できる患者さんに制限があるため、是非受診された際にご相談ください。

経口ステロイド薬

重い発作が起きた時などに、短期間だけ内服します。
強力に炎症を抑えますが、副作用のリスクがあるため長期連用は避けるのが一般的です。

気管支サーモプラスティ

重症喘息に対してのみ使用されます。
内視鏡を使って気管支の筋肉を温め、気道が狭くなりにくくする手術です。

9. 日常生活の注意点

薬による治療だけでなく、日常生活での自己管理も非常に重要です。

悪化因子の除去(環境整備)

自分の喘息の「引き金(トリガー)」を知り、それを避けることが大切です。
原因を調べるために、自身の抱えるアレルギーを調べる血液検査が有効です。

  • ダニ・ホコリ:こまめな掃除、寝具の洗濯などで室内環境を清潔に保ちます。
  • タバコ:喫煙者は禁煙し、周囲の人からの受動喫煙も避けるようにしましょう。
  • ペット:アレルギーがある場合は、飼育環境を見直す必要があります。

体調管理

風邪やインフルエンザなどの感染症は発作の大きな原因になります。
手洗いを励行し、インフルエンザワクチンなどの予防接種を受けることが推奨されます。

薬の継続

これが最も大切です。
症状が良くなったからといって自己判断で薬をやめないでください。
炎症が再燃する恐れがあります。

当院ではアレルギー学会の専門医資格を持った医師が治療にあたります。
千葉(幕張)で気管支喘息の治療を検討しているかたは、是非「こあら内科クリニック」にご相談下さい!

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