関節リウマチの生活での工夫
関節リウマチの治療は、抗リウマチ薬による薬物療法が基本になります。しかし、それ以外にも患者さんができる生活の工夫があります。
病気と長く付き合い、関節の機能を最大限に保ち、生活の質(QOL)を高めるためには、薬物療法と一緒に、患者さんご自身による日々の工夫や自己管理が重要となります。これらの非薬物療法は、医師だけでなく看護師や栄養士など様々なサポートを通じて行われます。
1. 知識と心のケア:患者教育と心理的介入
関節リウマチは慢性的な病気であり、生涯付き合っていくタイプの病気になります。患者様が病気のことを正しく理解し、自分で管理する力をつけることが不可欠です。
- 病気の理解:自分の病気の性質や、薬がどのように効くのかを理解することは、治療を続ける上で土台となります。また、関節リウマチに使われる薬は副作用を起こすものが多いです。これら副作用に患者さんが早く気が付くことで、副作用が大きくなる前に対応することができます。
- 自己管理のスキル:慢性的な病気を自分自身で管理するための具体的なスキルを学び、日常生活で生かすことが機能の維持につながります。
- 心理的サポート:関節リウマチの患者さんは、常に付きまとう痛みや疲労感から不安や抑うつ(落ち込み)を抱えやすいことが分かっています。ストレスを減らすことで、痛みや疲労、関節の変形をわずかながら軽くして、精神的な幸福感を改善する効果があることが報告されています。
2. 関節を保護する生活の知恵:関節保護の原則
関節保護とは、関節への無理な負担(ストレス)を減らし、関節の形や機能を守るための工夫のことです。これは、関節リウマチをお持ちの患者さんにとって、予防的なケアとして非常に重要です。
関節保護について、日常生活の動作を改善するための8つのポイントがあります。
① 痛みを尊重する:痛みを感じる動作は関節に負担がかかっていることが多いです。痛みが強い動作はやり方を変えるか、休息を取るなど、補助具を使う、などの方法をとられると良いです。
② 休息と活動のバランス:活動しすぎると痛みが増し、活動しなさすぎると関節が固まるため、休憩を計画的に挟むなど、ちょうどよいペース配分を行うと良いかもしれません
③ 強い関節を使う:同じ動作・同じ負担をかけるにしても、指のような小さな関節ではなく、肩や肘などの大きな関節を使い方が負担が少ないです。
④ 最小限の力を使う:道具を握る力や、作業にかける力を最小限にします。特に手の小さな関節に負担をかける握りしめる、つまむといった動作を避けることが大切とされています
⑤ 姿勢と体の使い方:関節に変形を招くような不自然な姿勢(例:手首を曲げたままの作業)を避け、よい姿勢や使い方を心がけるといいかもしれません
⑥ 長時間の固定を避ける:同じ関節の姿勢を長時間維持することを避け、定期的に体勢を変えたり、ストレッチをすることで、関節のこわばりを防ぐことができるとされています
⑦ 動作を簡単にする:補助具を上手に使うことで、関節への負担を少なく行うことができます。ペットボトルの蓋を開けるための「ペットボトルオープナー」などがあります。
⑧ 筋力を保つための程よい運動を行う:筋力と関節の動く範囲を維持・増やすために、体を動かし続けることが大切です。
3. 運動の力:痛みと疲労の軽減
痛みや関節の損傷があると、患者さんは体を動かさないようになりがちですが、安静にしすぎると、かえって筋力が衰え、関節の動きが失われ、機能障害が悪化してしまいます。そこで、負担のない範囲内での運動(有酸素運動、筋力トレーニング、ストレッチ)を行うことがおすすめです。
- 運動の効果:負担のない範囲内の運動は、病気の活動性・疲労・痛みを軽減して、精神的な面でも健康にしてくれます。また、関節の動く範囲や筋力、安定性を改善する効果があります。
- おすすめの運動の強さ
1) 活動的な炎症が少ない場合:筋力トレーニングやウォーキング、水泳、サイクリングなどの有酸素運動がおすすめです
2) 活動的な炎症がある場合:安静用の固定具を使い、炎症を抑えながら、関節が固まるのを防ぐための軽い可動域訓練を毎日行うことがおすすめです。お風呂で入浴中に行うと、浮力があるため関節への負担が少なくおすすめです。
4. 栄養と体重の管理:関節の負担を減らす
栄養指導は一見関節リウマチの治療とは関係ないように感じますが、一部の報告で効果が示されています。特に、体重管理は関節の負担を直接減らすため、重要な要素です。
① 適正体重の維持
- 肥満のリスク:肥満は、股関節・膝関節・足首など、体重を支える関節により大きな負荷をかけるため、関節破壊を早める可能性があります。
- 治療効果の低下:肥満の関節リウマチ患者さんは、健康的な体重の患者様と比べて、寛解(病気の活動性がほとんどない状態)を達成しにくいことが示されています。
- 体重減少の効果:体重のわずか5~7.5%の体重減少でも、関節炎や関節の機能を改善する効果が言われています。
② 健康的な食事
- 食事の役割:健康的でバランスの取れた食事をすることが推奨されます。最近免疫分野で有名ですが、地中海食のように、野菜や果物が豊富な健康的な食事は、関節リウマチ患者さんによく見られる心血管疾患(心筋梗塞や脳梗塞など)のリスクを減らすこととも関連しています。
- 魚油(オメガ3脂肪酸):魚油が豊富な食事や、魚油のサプリメント(オメガ3脂肪酸)を追加することで、炎症物質を減らし、症状を軽減するのに役立つ可能性が研究で示されています。
- 葉酸の過剰摂取に注意:関節リウマチで最も多く使われている薬であるメトトレキサートは、葉酸によって中和されてしまい、薬の効果が落ちてしまいます。メトトレキサートを使用されている方は、葉酸を含んでいる食品をとりすぎないように注意ください。
関節リウマチの方の生活上の注意につきまして、疑問点や質問がありましたら、当院受診時に是非ご質問ください。
