食物アレルギー
食物アレルギーについて
食物アレルギーは、特定の食べ物を食べたときに体が過敏に反応してしまう病気です。
命に関わる大切な病気ですし、重症なアレルギー症状を起こさないためには生活上の注意が最も大切です。ここでは、食物アレルギーの基本的な仕組みから、症状、検査、日常生活での注意点までをわかりやすく解説します。
1. 食物アレルギーとは
私たちの体には、ウイルスや細菌などの異物から身を守るための「免疫」という仕組みが備わっています。食物アレルギーとは、この免疫システムが、本来は体に害のない食べ物(主にタンパク質)を「敵だ」と勘違いして攻撃してしまうことで起こる反応のことです。
食物アレルギーとよく間違われるものに「食物不耐症(ふたいしょう)」や食中毒があります。例えば、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロするのは「乳糖不耐症」といって、牛乳に含まれる成分をうまく消化できない体質によるもので、免疫の反応であるアレルギーとは仕組みが異なります。食物アレルギーでは、ほんの少しの量を食べただけでも、命に関わるような激しい反応が起きる可能性があるのが大きな特徴です。
2. 有病率や疫学
食物アレルギーを持っている人は、近年増えていると言われています。
子ども
食物アレルギーは乳幼児期に最も多く見られます。1歳児の約6〜11%が何らかの食物アレルギーを持っているという報告があります。しかし、成長とともに消化機能や免疫機能が発達するため、小学校に入る頃までには多くの子供が自然に治っていきます(これを「耐性獲得」といいます)。
大人
大人の食物アレルギーの割合は、研究によって幅がありますが、約5〜10%程度と推定されています。大人の場合、子供の頃からのアレルギーが治らずに続くケースと、大人になってから突然発症するケースがあります。大人になってから発症したアレルギーは、子供の頃のものに比べて治りにくい傾向があります。
3. 食物アレルギーの分類
食物アレルギーは、症状が出るまでの時間や仕組みによって大きく3つに分けられます。
即時型(IgE依存性)アレルギー
最も一般的なタイプです。「IgE抗体」という物質が関わっています。原因となる食べ物を食べてから、数分から2時間以内という短い時間で症状が現れます。ここでは主にこの「即時型(IgE依存性)アレルギー」について解説します。
非即時型(非IgE依存性)アレルギー
IgE抗体が関わらないタイプで、食べてから数時間から数日経って症状が出ます。主に嘔吐や下痢などの消化器症状が見られます。新生児や乳児に多い「消化管アレルギー(FPIESなど)」がこれにあたります。ただし血液検査や皮膚テストで診断を付けることができないため、診断はかなり難しいです。「特定の食べ物を摂取した数時間後に吐いてしまう、顔が白くなる」などがある場合は考える必要があります。
特殊なタイプ
口腔アレルギー症候群
- 花粉症の人が、特定の果物や野菜を生で食べたとき症状を起こします
- 症状は、口の中がイガイガしたり腫れたりすることが多いです
- 花粉と果物のタンパク質の構造が似ているために起こります
→ 詳しくはこちらをご参照ください
食物依存性運動誘発アナフィラキシー
・特定の食べ物を食べただけでは症状が出ず、食べたあとに運動をすることでおきるものです
・学校で給食を食べた後に、昼休みや午後の授業で動いたときに症状が出やすいです
→ 詳しくはこちらをご参照ください
4. 原因となる食べ物の種類と頻度
どんな食べ物でもアレルギーの原因になる可能性がありますが、日本では特に以下の品目が「特定原材料」などとして表示義務や推奨の対象になっています。
子供に多い原因食物
「 鶏卵(たまご)」「牛乳」「小麦」が代表的です。
これらは成長とともに食べられるようになることが多いです。
大人に多い原因食物
「甲殻類(エビ・カニなど)」「魚類」「ピーナッツ」「木の実類(クルミ、カシューナッツなど)」「果物」「小麦」などが多く見られます。特にエビやカニ、ナッツ類、ピーナッツのアレルギーは、大人になっても治りにくいのが特徴です。
その他の原因
「そば」「大豆」「ゴマ」「牛肉・豚肉」「魚卵(いくらやカレイの卵など)」なども原因となります。
5. 症状
アレルギー反応は体の様々な場所に現れます。症状は軽いものから命に関わるものまで様々です。
- 皮膚の症状(最も多い):かゆみ、じんましん、赤み、皮膚の腫れ(まぶたや唇など)。
- 呼吸器の症状:くしゃみ、鼻水、咳、ゼーゼーする(喘鳴)、息苦しさ、声がかすれる。
- 消化器の症状:腹痛、吐き気、嘔吐、下痢。
- 循環器・神経の症状:脈が速くなる、血圧が下がる、めまい、意識がもうろうとする。
アナフィラキシー
これらアレルギーの症状のうち、皮膚、呼吸器、消化器などの症状が複数同時に・激しく現れる状態を「アナフィラキシー」と呼びます。この状況になると命の危機があり、エピペンなどでの治療が必要になります。
さらに血圧が下がって意識を失うなど、命の危険がある状態を「アナフィラキシーショック」と言います。
6. 検査の方法
「アレルギーかな?」と思ったら、自己判断せずに専門の医療機関を受診しましょう。
問診
最も重要なステップです。「何を、どのくらい食べて、どのくらいの時間で、どんな症状が出たか」を詳しくお聞きして原因を調べます。時間をかけてお聞きすることが大切なため、外来が混雑している際には複数の日に分けてお話をお聞きすることもあります。
血液検査(総IgE抗体検査、特異的IgE抗体検査)
血液中には特定のアレルギーの原因物質に対する「IgE抗体」が存在しており、それらを合わせて「総IgE抗体」として体の中に存在しています。
View39検査
当院では複数(約40種類)のアレルギー検査を一度の検査で行う「view39」を導入しており、複数の原因が考えられる場合は網羅的に確認ができます。ただし、あくまで「一般的に頻度のアレルギーの原因を39個行う検査」にすぎないため、より正確に診断するためには、「問診の内容から可能性の高いアレルギーの検査を行う」ことも診断には重要になります。
<検査費用> 3割負担で4,300円前後の検査になります
お子さんのアレルギー検査
お子さんでアレルギーの検査を行う際に、普通の採血では負担になることも多いです。そこで当院では、指先からの採血で同様のアレルギーの検査を実施することができます。一般的な採血より痛みが少ない点がメリットです。お気軽に御相談ください。
当院の小児採血では「新微量採血管」を用いた痛みの小さい採血方式を採用しています
→ 事前予約なく検査を実施できますので気軽に来院ください
特異的IgE抗体検査(選択項目)
当院にはアレルギー専門医が在籍しているため、患者さんによっては特に疑わしい原因物質に絞って、より詳細にアレルギーの原因物質を検査することもできます。それにより「view39」のような規格にそった検査では見つけることのできないアレルギー物質についても検査を行うことができます。View39とは同月に検査を行うことができないため、検査の月を分けて実施します。
総IgE抗体検査
ここまで挙げたアレルギーの検査は「総IgE抗体の量」(アレルギー体質)によって大きく影響を受けます。例えば「39項目のアレルギーで30項目で陽性になった」などの場合は、この総IgEが高すぎて正確な検査を行えていない可能性が高いです。このような可能性を考えるために、必ず総IgE抗体と共に検査を提出します。
皮膚プリックテスト
少ない量のアレルギー原因物質を皮膚に乗せ、小さな針で軽く突いて反応を見ます。血液検査で出なかったアレルギーがプリックテストで出ることもあるため、有意義な検査です。その一方で、アレルギーを起こした物質を実際に直接体内に入れるため、アナフィラキシーなど重いアレルギーが出る可能性があるため、救急体制が整った場所で行う必要があります。現時点では当院ではプリックテストを行っていないため、必要に応じて近隣のアレルギーを専門とした病院にご紹介いたします。
食物経口負荷試験(負荷試験)
アレルギーの診断で最も確実な方法です。医師の管理のもとで、実際に原因と思われる食品を少しずつ食べてみて、症状が出るかどうかを確認します。これは診断の確定や、治ったかどうかの確認のために行われることがありますが、より重症なアレルギー(アナフィラキシー)を起こす可能性が高いため、安全性がほぼ担保された状態でのみ行います。
★ アレルギー検査結果についての注意点
血液検査や皮膚テストで「陽性」が出ても、必ずしもその食べ物で症状が出るとは限りません。あくまで「その物質に対するアレルギーの体質」を見ているだけで、症状がでるかと完全には一致しません(医学的には「感作」と呼ばれる状態です)。
検査結果の解釈については、かならずアレルギー専門医の判断をお聞きするようにしてください。
7. 治療薬
現在のところ、食物アレルギーを根本的に治す特効薬はありません。症状が出たときの対処が中心になります。
エピペン®など
アナフィラキシーなどの重い症状が出たときに、患者さん自身や保護者が太ももに注射する薬です。アナフィラキシーの進行を食い止め、命を救うための唯一の薬です。
抗ヒスタミン薬(飲み薬)
軽いじんましんやかゆみを和らげるために使われますが、アナフィラキシーのような重い症状を止める効果はありません。
8. 治療目標
食物アレルギーの治療における主な目標は以下の通りです。
1. 安全の確保
原因となる食べ物を避けることで、アレルギー症状(特にアナフィラキシー)を起こさないようにすることです。また仮に誤って摂取してしまった場合でも、常に持参しているエピペンにより自身で対応できることが大切です。
2. 栄養のバランス
特にお子さんの場合ですが、食べられないものがある中でも、代わりの食品をうまく使って、健やかな成長に必要な栄養をしっかり摂ることです。
3. 生活の質の向上
過度な不安を持たず、日常生活や外食などを楽しめるようにすることです。
9. 日常生活での注意点
正しい除去と食品表示の確認
医師から指示された原因食物を食事から除き、アレルギーの症状を起こさないように注意することが基本です。また加工食品を買うときは、パッケージの裏にある「原材料表示」を毎回必ず確認する癖をつけましょう。アレルギー表示のルールは国によっても異なりますが、日本では卵、乳、小麦、えび、かに、そば、落花生(ピーナッツ)、くるみの8品目に表示義務があります
微量混入への注意
食品の製造過程や、家庭での調理中に、意図せずアレルゲンが混ざってしまうことがあります。例えば、揚げ油の共有や、トングの使い回しなどに注意が必要です。
緊急時の対応
万が一、間違って食べてしまい症状が出たときにどうするか、事前に医師と相談して「緊急時対応プラン」を作っておきましょう。エピペンを持っている人は、常に携帯し、使い方がわかるように練習しておくことが大切です。
周りの人への周知
学校の先生、職場の人、友人などにアレルギーがあることを伝え、理解してもらうことも身を守るためには重要です。特に、激しいアレルギーの場合は意識を失ってしまうこともあります。そのようなときに、周りの方が自身の代わりにエピペンを打ってもらえるように、事前に練習しておくことも大切です。
当院ではアレルギー学会の専門医資格を持った医師が治療にあたります。
千葉(幕張)で食物アレルギーにお困りのかたは、是非「こあら内科クリニック」にご相談下さい!
