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SAPHO症候群

1. SAPHO症候群とは

SAPHO(サホー)症候群は、骨や関節に炎症が起きる病気と、皮膚に炎症が起きる病気が合併する、比較的まれな病気です。この病気の名前は、主な5つの症状の頭文字をとって名付けられました。

 1) Synovitis(滑膜炎):関節を包む膜(滑膜)の炎症。要するに関節炎。

 2) Acne(ざ瘡):重症のニキビ

 3) Pustulosis(膿疱症):手のひらや足の裏に膿がたまった皮疹ができること(掌蹠膿疱症など)

 4) Hyperostosis(骨化過剰症):骨が異常に増殖して厚くなること

 5) Osteitis(骨炎):骨そのものの炎症

すべての患者さんにこれら5つの症状がすべて出るわけではありません。特に「骨・関節の症状」と「皮膚の症状」が組み合わさって現れるのが特徴です。

骨の炎症は、特に「前胸部(胸の前のあたり)」にある鎖骨や胸骨、肋骨のつなぎ目で起こることが最も多く、ここが腫れて痛むのが高頻度の症状です。また、背骨や骨盤の関節(仙腸関節)に炎症が起きることもあります。

2. どのくらいの人がなるか:有病率や疫学

この病気は非常にまれで、正確な患者数はわかっていませんが、1万人~10万人に一人の頻度とされています。主に30歳代から50歳代の大人に多く発症します。30歳未満で発症する場合は女性に多い傾向がありますが、全体としては男女ともに見られます。

日本においては、皮膚の病気である「掌蹠膿疱症」という、手のひらや足の裏に膿疱(小さい白い水ぶくれ)ができる病気がきっかけで見つかることが多くあります。日本の報告では、掌蹠膿疱症の患者さんの20〜30%に、SAPHO症候群と同様の骨や関節の痛みが合併するとされています。

3. SAPHO症候群を起こす原因

はっきりとした原因はまだ完全には解明されていませんが、いくつかの説が考えられています。

・免疫の異常(自己炎症)

 体を守るはずの免疫システムが誤作動を起こし、自分自身の体を攻撃してしまう「自己炎症性疾患」に近いと考えられています。体の中で炎症を引き起こす物質が過剰に作られていることがわかっています。

・細菌の影響

 骨の炎症部分から、アクネ菌(ニキビの原因菌)などの細菌が検出されることがあります。これは「感染症」そのものではありませんが、特定の細菌に対して免疫が過敏に反応してしまっている可能性が指摘されています。

・遺伝的要因

 一部の遺伝子が関係している可能性はありますが、親子で遺伝することはまれです。

4. 治療をしなければならない理由

治療が必要な最大の理由は、「痛みによる生活の質の低下を防ぐこと」と「骨や関節の変形・破壊を防ぐこと」です。

・激しい痛み

 胸や鎖骨、背中などの骨の痛みは非常に強く、日常生活や睡眠を妨げることがあります。

・骨の変形

 炎症が長く続くと、骨が太くなったり(骨化過剰)、骨同士がくっついて動かなくなったり(強直)することがあります。一度変形してしまった骨は元に戻すことが難しいため、早期に炎症を抑える必要があります。

5. 治療目標

SAPHO症候群は病気を完全に治す(完治)ことは難しいですが、薬で病気の勢いを抑えた状態(寛解)を目指します。具体的には以下の状態を目指します。

 1. 痛みの消失

  骨や関節の痛みをなくし、日常生活を問題なく送れるようにする。

 2. 皮膚症状の改善

  手足の膿疱やニキビをコントロールする。

 3. 炎症の沈静化(寛解)

  血液検査での炎症反応や、画像検査での骨の炎症の進行を止める。

6. 治療方法

治療法は患者さんの症状に合わせて選択されます。単一の決まった治療法はなく、いくつかの薬を組み合わせて行います。

(1) 痛み止め/抗炎症薬(NSAIDsと言われる薬)

治療の基本となるのが、「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」と言われる解熱鎮痛薬です。一般的には鎮痛薬として使われますが、十分な量を定期的に(毎日)飲んでいただくことで炎症を抑える効果も発揮します。有名な薬では「ロキソプロフェン」などがありますが、長期に飲んでいただくために「セレコキシブ」などを使うことが多いです。

(2) ビスホスホネート製剤

本来は骨粗鬆症の治療薬ですが、骨の炎症を抑え、痛みを劇的に改善する効果があるため、SAPHO症候群でも使用されます。

(3) メトトレキサート

関節リウマチでよく使われる免疫抑制薬を使用することも多いです。手足の関節炎には効果が期待できますが、背骨や胸骨の炎症には効きにくいことがあります。

薬物治療(2):メトトレキサート

(4) 生物学的製剤

これまでの治療で効果が不十分な場合や、症状が非常に重い場合に使用されるのが「生物学的製剤」です。これは、化学合成された一般的な薬とは異なり、バイオテクノロジーの技術を使って作られた、免疫の特定の物質をピンポイントで狙い撃ちする注射や点滴の薬です。

(5) 日本での治療の特徴:扁桃摘出術

日本では、掌蹠膿疱症との関連が強いため、「扁桃摘出術」が行われることがあります。扁桃腺にある慢性的な炎症が、免疫反応の引き金になっていると考えられる場合があり、扁桃を取ることで皮膚や骨の症状が改善したという報告が日本からなされています。

7. 病気の見通し:予後

SAPHO症候群は、多くの患者さんにおいて生涯付き合っていく病気です。しかし、適切な治療を行えば、痛みをコントロールし、普通の生活を送ることは十分に可能です。関節リウマチのように関節がボロボロに壊れて動けなくなってしまうような深刻な障害を残すことは、比較的少ないとされています。 ただし、炎症が長引くと骨が太くなったり癒合したりする変化は残るため、症状が落ち着いた後も、定期的なリウマチ専門医の通院が大切です。

 

当院では膠原病内科(リウマチ科)の専門医と指導医の資格を持った医師が治療にあたります。また、生物学的製剤などの最新の薬まで駆使してSAPHO症候群の治療に当たります。千葉でSAPHO症候群の診断・治療が気になった方は、是非「こあら内科クリニック」にご相談下さい!

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